むし歯予防や歯周病予防のためには・・・
むし歯や歯周病は予防することができる病気です
一般的に、むし歯や歯周病はごくありふれた病気だと思っておられるかもしれません。
『歯が痛くなったら歯医者に行き、むし歯を見つけて・削って・銀歯をいれて・かぶせ物を入れる』
『しばらくしてまた歯が痛くなったら歯医者に行く』
という繰り返しは、長い一生を考えると老化を早め、快適な生活にとって必ずしもプラスにはなっていません。
初期のむし歯であればお口の中の状態を改善することで、その進行を食い止めることができます。
また、お口の中の環境を虫歯になりにくい環境へ変化させることが大切です。
むし歯が進行してしまうと、削ってかぶせる治療が必要になりますが、再発を予防することができれば、
同じ失敗は繰り返さないですみます。
歯周病は、『完全に治る』ということはありませんが、適切なブラッシングや歯石の除去、
歯科医院での定期的なクリーニング等により、その進行を止めることができます。
むし歯予防や歯周病予防にためには・・・
むし歯や歯周病に対する正しい知識を身につけることが必要です。
『老化で歯がなくなることはありませんし、自然に歯が抜けることもありません』
Kimura らの報告によると、歯を失う原因としては
第1位 むし歯 : 55%
第2位 歯周病 : 38.4%
第3位 ケガや事故など : 6.6%
と報告されています。
★『むし歯』で歯を失う最大の原因は・・・
歯が痛くなったら歯医者に行き、むし歯を見つけて・削って・銀歯を入れるたり、かぶせ物をする...
これを繰り返すことが最大の原因です。 ※歯が痛くなってから歯科医院に行った時点で、かなり大きなむし歯であるといえます
たとえ見つけた時には小さなむし歯であっても、歯を取り巻く環境が変わらなければ、治療した歯が再びむし歯になり、
さらに削って・再び銀歯を作りかえたり、かぶせ物を作りかえる...これを繰り返すことになります。
またさらにむし歯が再発すれば、削って・神経を取って、銀歯を作りかえたり、かぶせ物を作りかえたりという様に
どんどん銀歯などの作り物の部分が増えていきます。
最後には、歯が割れて、歯を抜かないといけない ということが起こり、お口の中がどんどん崩壊していきます。
なぜ、むし歯が再発するのかをきちんと考えなければいけません。
また、早期に治療を受ける歯ほど、その寿命は短いといわれています。
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最初は小さな銀歯でしたが、銀歯の下がむし歯になり、大きな銀歯になりました。
さらに大きな銀歯の下がむし歯になり、神経を取って大きなかぶせ物になりました。
神経を取った歯は、非常にもろく、枯れ木の様なものです。
そのため、歯の根が割れてしまい、歯を抜かないといけないことがあります。
★『歯周病』は歯肉炎と歯周炎に分けられます。
★歯肉炎は歯肉のみの病気です。これをそのままにしておくと、歯周炎に進行していきます。
★歯周炎は、歯ぐきの状態が悪化し、歯を支える歯ぐきの骨まで病気が進んでいる状態です。
その進行を食い止めなければ、やがて歯がぐらぐらするようになり、最終的には歯が抜け落ちてしまいます。
10代の若者で約60%、20代では約70%が歯周病にかかっているといわれています。
また、歯周病は自覚症状がほとんど無く進行していきます。
自覚症状が出てからの治療は、困難な場合が多く、歯を抜かないといけなくなることが多いです。
最近では、むし歯や歯周病は、早い時期からのきちんとした診査・診断に基づくアドバイスと歯科医院での定期的なクリーニング、
お家での十分なホームケア(歯みがきや糸ようじ:デンタルフロスの使用)等があれば、かなり防ぐことができる病気であることが分かってきました。
みなさんがお口の事で日常生活が煩わされることが無いようにするためには、定期的に歯科医院に通院していただき、
お口の状態をきちんと把握し、普段からの生活習慣やお口の衛生状態、むし歯になりにくいお口の環境を整えるためのアドバイス、
歯科衛生士によるクリーニングや具体的な歯みがき指導、定期的なフッ素の使用に関する指導・提案などを受けていただくこと
が必要と考えられます。
なかでも子供達のお口の状態は、心身の成長発育とともに非常にダイナミックに変化しますので、むし歯もなく、歯ぐきも健康で、歯並びやかみ合わせにもほぼ問題が無い、きれいで・良くかめて・健康なお口を育てていくためには細かい気配りが必要です。
そのため我々歯科医師は、お家でのホームケアと歯科医院でのプロフェッショナルケアをうまく組み合わせて、楽しく心地よくお過ごしいただける様にみなさんのお口の健康の維持をお手伝いをできればと考えます。
お口の衛生指導や生活習慣の改善、定期的な歯石除去、クリニーングの重要性
お口の健康を維持するために・・・
むし歯や歯周病の主な原因は、細菌の塊である歯垢(プラーク)です。
そのため、原因の除去や改善がきちんと行われていなければ、
むし歯の治療(削る、つめる、かぶせる)や歯周病の手術をしても、再発を繰り返すことがあります。
歯が痛くなったり、噛めなくなった時にだけ歯医者へ行き、むし歯や歯周病の治療を受けるだけでは、
それは対症療法(症状に対する一時的な治療)にすぎません。
本当に大切なことは、それらを引き起こした原因をしっかりと把握し、
それらを少しずつ取り除き、お口の中の状態を改善させていくことが必要となります。
むし歯や歯周病などの治療を行った後は、お口の状態の診査・診断とそれに基づいて予防プランを立て、
歯科衛生士による歯みがき指導や生活習慣に対する指導、定期的なクリーニングによる歯垢(プラーク)・歯石の除去等
の治療を受けていただくことが重要です。
それらなしにはお口の健康を守っていくことはできません。
またできるだけ長い間、お口の健康を維持していきたいと考えられる方のサポートも、私たち歯科医療関係者にとって非常に重要だと考えていることのひとつです。
そのためには、定期的に歯科医院に来院いただき、お口の中の状態や生活習慣のチェックや指導を受けたり、ご自分のお口の状態をご自分できちんと把握していただく事がとても重要となります。そこで、みなさんにもっと上手に歯科医院を利用していただけたらと思います。